連絡船 ── 亀山郁夫訳『カラマーゾフの兄弟』がいかにひどいか



村上春樹とカラマーゾフの兄弟

 『1Q84』についての村上春樹へのインタヴュー。(http://mainichi.jp/enta/art/news/20090930dde018040006000c.html

 最も偉大な作家として敬意を払ってきたドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』も引用されている。「『カラマーゾフの兄弟』は好きで、5回は読んでいますが、読むたびに印象が変わるので面白い。亀山郁夫さんの新しい訳でも読みましたが、従来の訳とは全然雰囲気が違って楽しかったです」
(毎日新聞 二〇〇九年九月三〇日 東京夕刊)

 やれやれ。それで、村上春樹はたぶんアリョーシャによるコーリャのことばの言い換えを最先端=亀山郁夫がごまかしたことなんかにまったく気づいてもいないんですね。また、おそらく、アリョーシャの「あなたじゃない」は「あなたが死ぬまで」だったんだ! と納得しちゃったんでしょうね。はいはい、わかりました。その程度か。「『カラマーゾフの兄弟』は好きで、5回は読んでいますが」ですか。そんなもんですか。やれやれ。本当にがっかりだ。もっと読み込んでいるひとが『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の作者だと思っていたんですがねえ。

(二〇〇九年十月二日)


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